お風呂をめぐる英米・オーストラリアと日本の違い

この記事は海外と日本と英語圏の生活の基本的な違いに興味がある方のためのものです。
写真は私もミュンヘンの出張先で体験したことがある完全欧米型のホテルのバスルームの写真です。バスタブ付きをリクエストしたのにシャワーブースだけ。最初は水が出てきて、温度が上がってお湯になるまで時間が掛かり、その蒸気が部屋を暖めるまで待つというのは、冬の間はちょっと厳しいものがあります。

新入社員研修の企画で文化のギャップに驚く

20数年前、私はアメリカの医療機器メーカーで教育担当をしていました。
新卒新入社員研修は担当研修のなかでも大きなイベントの一つです。

その年は諸経費が削られて新卒の採用が少ない年でしたが、いつもの年と違うのはアメリカ出身の新入社員が2名いたことです。
2人ともルーツは日本人で見かけも日本人です。

新入社員研修というのは他の研修と違って一生の中で一度しか受けられません。貴重な要素がいくつもあります。
なぜならその後、何度転職しても中途採用とみなされ、基本的な言葉遣いや所作(接遇)を基本から学ぶ機会がないからです。この時期に身に付けた接遇はその人の社会人としてのマナーのレベルを決めてしまいます。

キチンとしたお辞儀、名刺交換、敬語をふくむ言葉遣い

報告・連絡・相談(いわゆるホウレンソウ)

だから連日、講師の私も新入社員たちも緊張の連続。正直、1日の終わりにはお互いヘトヘトになります。時には疲労と緊張が続いて救急車で病院に運ばれた方もいました。(決してスパルタではないですよ!)
そこで日程の中に、郊外のゆったりした場所での合宿を組み入れました。

夜は温泉につかりながらみんなでまったり~。わいわいがやがやと同期の親睦を深めてもらえればいいな、と思ったのです。ところがこのプランを発表するとアメリカ育ちのうち1人が私のところへやってきて

「僕は温泉には入りません。他人の前で裸になる事はありません。
家族の前でも裸にならいし、裸になるのはガールフレンドの前だけです」

と、キッパリ。そういう感覚の違いには事前に思い至らなかったけれど、素直に

あーなるほど

と思って彼にはホテルの自室のシャワーを使うように話をしました。

でもね。。。。後日談があって。

彼の同期から聞いたところによれば、彼は水泳用パンツを履いて嬉しそうに温泉に登場し、何度も飛び込みをしていたそうです(笑一旦、自分は温泉に入らないと公言したものの、やはり同期の仲間と一緒にお風呂に入りたかったのでしょうね。彼の中でも葛藤があったに違いありません。

この話を4年くらい前に英会話の集まりで出会ったオーストラリア育ちの青年にしたところ

“I had exactly the same experience when I was eight years old!”

とお母さんと一緒に日本に里帰りしたときのことを話してくれました。
彼は温泉は裸で入るということを知らされないまま、お母さんと別れて男湯の暖簾をくぐってびっくり。後で 
Hey, Mum! You didn’t tell me!
と抗議したそうです。きっと恥ずかしさで顔が真っ赤だったかもしれません。想像するとなんだか可愛らしいですね。

今でもこの文化のギャップは縮まっていない

最近、同じような体験談を30代初めの方からも聞きました。日本に来たイギリスからの大切なゲストを温泉旅館に招待して大風呂に入ろうとしたところ

「断固たる拒絶を受けた!」

そうです。一方でうちの近所のスーパー銭湯に行くと、お客さんは日本人よりも外国人のほうが多い。
中国や韓国、時として東欧からの人など、他人の前で裸になることが皆に受け入れられています。

江戸の銭湯の様子には趣味の落語を通じて詳しいのですが当時は混浴で、老若男女を問わず、みな裸で狭く薄暗い銭湯に入っていたということです。同じ日本の中でも時代とともに文化・風習は変わってきたんですね。

これから職場に外国人が増えると例えば;

社員旅行を復活しよう!
夜は温泉に入ろう!

と企画する際にそれを受け入れがたい人がいるかもしれないということを常に事前に考慮したほうがよいです。
温泉に限らず、一緒に飲食したときのお会計。

日本人の多くは割り勘に慣れています。または男性少し多めにお支払が暗黙の了解になっています。
でも自分が飲食した分しか払いませんと主張する人も出てきそうです。
慣習が違うときにとかく日本人は対立を恐れて相手の話を受入れてしまいがちです。そしてあとでモヤモヤ感が残る。

でも、実は腹を割って話せるよい人間関係を築くためには日本の習慣について言葉で説明したうえで異文化から来た人の希望、
言い分にも冷静に耳を傾け、お互いがWin-Winの着地点を探っていくことが必要になることでしょう。

ArthurとAustinのお喋りからアメリカのお風呂の話

昨夜、YouTubeでIU ConnectのArthurと、友人のAustinの対談を観ました。テーマはアメリカと日本のお風呂の入り方や家族関係の話です。

2人で日本酒を飲みながら(4合瓶2本!)のリラックスしたお喋りなのでホンネトークが盛り上がって面白かったです。
アメリカのお風呂事情に興味がある方は必見です。
先に私が書いた新入社員の話「アメリカでは人前で裸にならない」という話も出てきます。その際に、彼ら二人は
「ヨーロッパではアメリカのようにヌードに対する抵抗感がない」という話をしていたのが初耳で意外でした。確かに大昔オーストラリアの海岸でトップレスの女の人がちらほらいたのを思いだしました。オーストラリアは文化的にイギリス色が濃いですものね。

2人ともアメリカのバスルームはトイレと同じ部屋だし、バスタブが無くてシャワーだけのことがある。
さらにバスタブがあっても陶器で冷たい。日本のプラスティックは暖かくていいという話から始まって温水便座の話も出てきました。
冒頭に貼り付けたホテルのバスルームの写真も寒そうです。

家族関係の話では、だれが一番最初に入るかは「だれがその所帯の主か」とイコールじゃないかという意見もでます。
Arthurは「僕が入ると体毛がお湯に浮いてしまうので最後に入る」という打明け話をしていましたが、女性の私には思いつかないことですね。

ここにリンクを貼っておきます。会話は全編英語ですが、英語・日本語の字幕付きですので気軽にお楽しみくださいね。

 IU ConnectのArtherさんとお友達のAustinの対談

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