ようやく日本でも、リスキリング、レカレントなど、学びを新たに追加したり、再度教育を受けるなど、一度社会人を経験してから学校に戻ることが普及してきました。ある人は今の仕事の質を上げるために専門性を高めるため。ある人は仕事をする中で感じてきた課題を解決するためと、目的はそれぞれです。
そして海外留学をする方もいらっしゃいますが、留学といえば、勉強はもちろんですが、日本を離れての食生活も気になるところ。
私も20年以上前になりますが、ロンドンの学生寮でほぼ自炊をしていたので、その時のことを綴りたいと思います。
私もBack to School組でした
38歳の時に、ロンドン大学のゴールドスミスカレッジの大学院に留学しました。当時は社会人が仕事を離れて自費で留学する人はまだ珍しくて、周囲からは「普通、行かないでしょ?」と言われたものです。
でも、組織人事の仕事をしていましたので、ひと様の人生を左右する仕事を専門知識のないまま続けることに疑問を感じたのです。外資系企業であっても、日本にある会社の場合、前任者からの引継ぎだけでお給料のために仕事をしている人が多いと感じていましたので、自分の専門分野をもって世の中のお役に立てている感を感じながら仕事ををしたいと考えた次第です。
社会人のBack to Schoolの利点
大学4年を卒業して、そのまま大学院にいくより「自分はこれを極めたい、調べて論文にしたい」というテーマを持っていると、モチベーションが萎えることなく英語のハンデもあまり気になりません。なぜならその課題は与えられたものではなく、自分で気づいたものだからです。
私が留学した時もクラスメート16人のうち、Under graduateから直接上がってきた学生は2人だけで、他はすべて社会人経験者、またはロンドン警察の研修担当者や、会社経営者でした。
だから休み時間におしゃべりをすると、UKの職業人のつぶやきを聞けて生々しく聞けて面白かったです。
学生寮で毎日の食事をどうするか?
前置きが長くなりましたが、イギリスと言えば当時はまだ「食事がまずい」と言われていた時代です。Take away といってチキンウィングやフライドポテト(Chips)などの揚げ物やサンドイッチを毎日というのは食事のバラエティーに恵まれている日本人からすると少々きつい。
そこで「なんちゃって日本食」を作ることにしました。その一つ目は白菜漬け。白菜、セインズベリーズで買えるんですよ。ただし White Leavesではなくて Chinese Leaves.といいます。日本の白菜の半分くらいの大きさです。
このはっぱをばらして少し乾燥させ、大きめのボールに入れてパラパラと塩を振る。切り昆布(日本から持参)とニンニク少々、唐辛子を適当に間に挟んだらボールに合った大きさのお皿を置いて、水をたくさん入れたヤカンを重しにしておけば2、3日でたべられるようになります。フラットメイトから Yuko、いったい何やってるの?と聞かれて白菜漬けについて説明したものです。
実は私はEnglish Breakfast が結構好きです。初めてロンドンにいったとき(今から20年前)ホテルの朝食がビュッフェでした。
えっ?過熱したトマト?とびっくりし、このブリブリしたものは何? マッシュルームのソテー!
でも今ではEnglish Breakfast はロンドンでの楽しみの一つ。冒頭の写真はずいぶんきれいに盛り付けてあります。実際にはこれに薄いパンのトーストを対角線に切って三角形にしたものが添えられます。それからポットになみなみ入った紅茶。お代わりできます。
でもね、English Breakfast はおいしいけれども毎日食べたいとは思えない。日本人のDNAでしょうか?そこで私の朝ごはんは魚好きということもあって、スーパーマーケットで偶然見つけた 鯵の燻製 を冷蔵庫にストックしてありました。日本での干物と同様、グリルで焼くだけの手軽さです。
ご飯はミルクパン(小型の鍋)でカリフォルニア米の「錦」を炊いてこの鯵の燻製がメイン、これに白菜漬けと日本から持ち込んだ梅干しを添える。日本の朝ごはん出来上がりです。
朝ごはんを食べているとカリビアンのお掃除の人がキッチンに入ってくるのですが、ほかの文化圏には興味がないらしくフラットメイトのアドリアーナが「ねえねえ、このJapanese ladyが食べてるもの、見て!」と言っても無反応でした。
日本の「お母さんの味」企画
これ以外には2、3か月に一度、Japanese Mother’s Day というカレーライスのイベントを開きました。同じ学生寮に住んでいる人なら、お皿に炊いたご飯をもってくれば私が作った日本式カレーライス食べ放題という企画です。
他に高菜チャーハンの日もありましたがイタリア人のアレッサンドロは偉く気に入ってお代わりしてました。ナポリ出身の彼ですが、塩気のある発酵食品はイタリア人も受け入れやすかったのでしょう。チーズやサラミは塩気が強いですものね。
いずれも異国の地で工夫して日本食を作った楽しい思い出です。