英語圏文化の色が濃い外資系企業では、管理職に必要な英語と一般職が使う英語の間に歴然とした違いがあります。
それは仕事の場面の違い、求められるスキルのレベルが違うので自然なことです。
人事部管理職としての長年の経験はありますが個人的な見解ですので、当てはまらない組織もあるという前提でお読みいただきますようお願いいたします。
1.日本にある外資系企業には2種類ある
注:外資系企業にはそのルーツによって大きく分けて2種類あります。
①元々日本企業だった組織を外資系企業が買収して外資系になった企業
日本企業の特徴が色濃く残っている場合がほとんどです。
②海外から進出してきた英語圏の文化が色濃い外資系企業
制度や企業文化が本社を頂点とするグローバルで浸透していて年功序列や男女による昇進機会のばらつきはありません。
また会議などの公用語が英語であることが多いようです。
この記事では②のタイプの外資系企業をとり上げて「外資系企業」と呼びます。
2.英語圏の文化が色濃い外資系企業では管理職と一般職の英語に違いがある
25年間、日本にある外資系企業で仕事をしてきました。
モルガンスタンレー、バクスター、ファイザー、シーメンス、いずれも人事部門で主に採用・人材開発関連・組織開発の仕事をしてきました。
(5年間、バイリンガルセクレタリーの時代があります)
途中から管理職になったときに、仕事でやり取りをする相手もガラッと変わりました。
そこで気付いたのが「外資系企業の管理職と一般職の英語には違いがある」という事実です。
<管理職と一般職が英語を話す環境>
話す相手 | 話す場面 | 言葉遣いのフォーマリティ | |
---|---|---|---|
管理職 | 経営陣 外国人上司 外国人同僚・部下 クライアント(決裁権限者を含む) | ・ミーティング、プレゼンテーション、交渉など、公式な場面が多い ・提案、交渉、時として異議を唱える ・部下への仕事の依頼、フィードバック (相手を動かすための発信) | ・フォーマルな表現・語彙が多い ・外国人・日本人部下に対してもハラスメントにならない細心の注意が必要 |
一般職(Non-exempt) | 上司 同僚 取引先の担当者 | ・日常業務、研修、カジュアルなミーティングなど、比較的リラックスした場面 ・指示に対する確認、質問、報告 (受身的立場) ・取引先へのプレゼンテーションで上司からの補助の元、話す場面がある | ・カジュアルな表現・語彙が許されることが多い ・外国人上司やクライアントとの会話ではフォーマルな言葉遣いが必要 |
3.管理職の仕事に必要な英語のスキル
前出の(2)の表にまとめた通り、管理職の英語はフォーマルな場面で上層部やお取引先の決裁権限者とのやり取りが多くなります。
さらに自分の配下だけでなく課題解決のために、時には経営陣に提案をして承認を取り、他部門を巻き込んで全体の士気を上げながらリーダーシップを発揮する場面もあります。
ここまでで、私がお伝えしようとしていることはお判りいただいていることと思いますが、私が考えている管理職の英語とは
「周りを巻き込んで組織を動かし成果をあげるための英語」です。
これは私の私見ではなく、いわゆるコンピテンシーモデルでも、広く取り入れられている管理職の概念でもあります。
そのためにはロジカルであることはもちろん、周囲の気持を動かして行動を促し、ときに思いやりのある態度を言葉にして伝える、部下に対してはコーチングでやる気を引き出すことができるレベルのコミュニケーションスキルと異文化理解と英語力が必要です。
上記以外にも、以下のような場面に柔軟に対応するための英語も使い分けられることが必須となります。
管理職業務で直面する、相手に配慮したデリケートなやり取り
・納期や難易度など相手にとって負担が予想される業務を依頼する
・スケジュールの急な変更を伝える
・組織の代表として謝罪する
・間違いや問題を指摘して改善を求める
・こちらからフィードバックを与える
・自分に対するネガティブなフィードバックに対応する
・部下に対して自分の間違いを謝罪する
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。
一般職レベルでは求められる業務を迅速に遂行し、求められたら迅速に正確な情報を伝えるスキルが重要。
いっぽう、管理職レベルでは提案・交渉のほかに、プレゼンテーションスキル、部下の気持ちにも気を配り、時に場を和らげるためのユーモアのセンス、ネガティブな出来事に前向きな解釈を加えて自分の言葉で部下に伝えることができる、客観性、気持ちの強さと切替え能力が必要です。
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私の英語歴、学習方法、外資系に向いている人、向いていない人についてざっくばらんに話しています。
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この記事を書いた人
仕事の英語パーソナルトレーナー
河野 木綿子(こうの ゆうこ)
ロンドン大学 Goldsmiths College 2000年
心理学部 大学院卒業
東京都青梅市出身
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ひとりでも多くの日本人ビジネスパーソンが英語でも日本語の時と同じように活躍できるようになって欲しいです。
25年間大手外資系企業の人事部に勤めた人材開発の専門家。その経験とロンドン大学大学院で学んだ学習理論と効果測定を活かし、日本で第1号となる仕事の英語パーソナルトレーナーを2014年に開業しました。
著名人含む約90名を、仕事の英語デビューに導いてきた実績があります。
【保有資格】
・ケンブリッジ英検
・IELTS 7.5 (1998)
・英国心理学協会の能力・適性テストの実施資格※
※企業で面接、適性検査、能力検査を実施する資格
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