最近は大手の日本企業でも仕事がグローバル化が進み、外国人社員と一緒に仕事をしている風景が見られるようになりました。
そして日本企業でも、外資系企業でも会議の出席者に一人でも日本語を話さない人がいたら、会議は英語で進行する、
が常識になりつつあります。
そんな中で、英語で自分の仕事ができる人でも「外国人社長や、役員が司会をする英語の会議で違和感を感じる」というお悩みを
聞く機会がありました。この記事ではそうしたお悩みの原因について解説し、解決方法を提案しようと思います。

外国人は会議に遅れてきても、仕事でミスをしても謝らない。
私もびっくりしたことがあるので、お気持ちお察しします。会議の主催者が自分の都合で15分遅刻してきた時、
その場にいるメンバーだけでディスカッションを始めていました。すると遅刻してきたご本人が
「私のいない間に進めていてくれてありがとう」
Thank you for going ahead with the meeting while I’m not here.
と、ニコニコ会議室に入ってきて、席に座ると、なにもなかったかのようにそこから先は司会者として会議に参加したのです。
もし遅れてきた人が日本人なら
「すみませ~ん、すみません。ほんと申し訳ないです」
と平謝りが普通でしょうか。
こういった会議に遅刻する場面だけでなく、英語圏の皆さん、特にアメリカ人は謝りません。
ただ、私自身が25年間、たくさんの「謝らない人たち」と仕事をして感じたのは「逆に日本人は頻繁に謝る。
少なくとも『すみません』という言葉を連発することがある」ということです。
これはもしかしたら、日本人が英語圏の人よりもひんぱんに「すみません」というので
よその国の人たちが謝らないように感じるのかもしれません。
そして日本人が頻繁に謝る理由としてすぐに思いつくことが2つあります。
ひとつめは日本人がすぐに「すみません」というとき、必ずしも本気のお詫びではなく、とりあえず「すみません」と言っておけば
少なくともその場での対立を避けられるので調和を保つために謝っておく。日本人は本当に対立することが苦手です。
2つ目は謝って自分の非を認めても日本人同士の中では、こてんぱんに責められそうもないから。
一方で、アメリカのような訴訟社会だと簡単に謝って自分の非を認めると、訴えられてしまうかもしれないので
簡単には謝りません。
訴訟社会とはどういうことかというと、弁護士の数はアメリカでは国民260人に対して一人、一方日本では
3,075人に対して一人です。アメリカは日本に比べて弁護士の数が人口比で約12倍多いことになります。
(2024年5月の人事コンサルティング会社によるデータ)
生まれ育った文化が簡単には謝らない、非を認めない文化なので、遅刻したり仕事のミスをしたくらいでは謝りません。
訴えられても仕方がない、と覚悟ができない限りは謝りません。
ではそういう人たちとうまく折り合いをつけて仕事をしていくにはどうしたらいいかというと、
「謝って!」と感情的になるより、「今、こういう問題になっているから解決策を提案して」と(言葉は悪いですが)
焚きつけるほうがよっぽど仕事が前に進むというのが実感です。
この話を日本の大手商社のNY本社の人事に20年以上いた私の友達にしたら「そうそうそう!」と大賛成してくれました。
ここでちょっと視点を変えて、ほとんどの外国人が謝らないのに日本人が謝るのが
✅ オンラインミーティングでインターネットの接続が悪いとき。
✅ 資料の共有に時間がかかっているとき。
という場面です。思い当たることありますか?
日本人だと「あ、すみません!」と言うのが自然。でも英語圏の発想だと自分のせいではないので
「スライドの共有、時間がかかってますね」
It’s taking time to share the slide とか
「接続に問題があるようなので、一度退出してもう一度入ります」
It seems there’s an issue with the connection. I’ll leave the call and rejoin.”
と出直してくるだけでI’m sorry とは言わないでしょう。
外国人は会議の時間に遅れて来たのに終わりの時間がくると議題が残っていても退席する
私たち日本人だと会議の始まりの時間は厳守ということが多いですが、終わる時間は「会議が押す」という言葉があるように
ずるずる時間が伸びることが多くてそれに慣れています。外国人にしてみれば、次の予定があるから、家族が待っているから
時間になったら帰ります、と悪気はないんですよね。
日本にある外資系企業の役員会でも終わりの時間の管理が緩いという日本的な傾向があります。
自分が割り当てられたプレゼンの指定時間に役員会議室に行くと
ドアの前で運営担当の人が
「すみません!押しちゃってるので20分のプレゼン、10分にしてくれます?」
という恐ろしい変更がよくありました。
それを見越して、プレゼンテーションの資料を作るときは
これを5分にしたら?
これを10分にしたら?
最悪3分で承認を取るとしたら?
と、いくつもの省略版を用意して、話す練習をしたものです。
日本人は指名されるまで自分から意見を言うのを待つのに、外国人は延々と関係ない経験談まで話す
日本人が指名されるまで自分から意見を言わないのはいくつか原因がありそうです。
ひとつ目は、まずは偉い人たちの意見を聞いてから対立しないように自分の立ち位置を決めたいから。
2つ目は自分と横並びの人たちからあまり外れたことを言って悪目立ちしたくないから。
3つ目は英語に自信がないから。。。
さらに私たちは6歳、7歳の幼いころから先生に指名されてからでないと勝手に発言できない小学校、
中学校での教育を受けてきました。
それが習慣となっていて、指名されていないのに自分から話し始めるというのは、私も外国人と仕事を始めた当初は
心底びっくりしたものです。
予備知識ですが、英語の会議では意見以外の感想や、経験談も歓迎されます。
なぜならそれを聞いて新しい意見を思いつく人がでれば議論がさらに膨らむことがあるからです。
この感想や体験談のシェアをインプットと呼びます。
日本人は誰かの発言を最後まで聞いてから話すのに、外国人は発言の途中でも割り込んでくる人がいる

10分ぐらいの長さのプレゼンをするときに「質問は最後にまとめてお願いします」と言っているのに、いいですか?と
前置きもせずに質問してくる人がいる。
これは英語圏だと会議はその場で意見を出し合って結論を出すためのものなので、思いついたらすぐに、
少しでもたくさん意見を出して結論を出すことに貢献したい。という気持ちが強いからです。
自分が話している最中に割り込んでくる人には、最終兵器として
「まだ話してます。最後まで話させてください」
Let me finish. I’m still talking.
という言い方もあります。この言い方はアメリカ大統領選挙のテレビ討論で発言中に割込まれた対立候補が
激しい言い方をしていたのを見たことがあります。
日本人が考え中なのに「意見がないのね?」とスルーされることがある
日本人同士だと、今考え中というとき男性は腕組みして天井を見ることが多く、
女性は両ひざに手のひらを乗せて壁を見ながら目をぱちぱちさせることが多い気がします。
でもこれは英語圏の人から見ると何をしているのか不思議にみえます。
あるオンライン会議で参加者の男性が腕組みをして天井を見つめて何て答えようか考えていたら、
役員から
何が天井にあるの?
What’s on the ceiling?
と冗談が飛んだのを見たことがあります。
英語圏の人には口に出して
「今、考えています」
I’m thinking.
とか「ちょっとメモを作らせてください」
Let me make a memo.
と「考え中」も言葉にしないと伝わりません。
実際私がNew York本社で人事の会議に出たとき、
日本の採用活動の課題があればみんなに紹介してほしい。と急に指名されて
「メモを作るから30秒ください」
Could you give me 30 seconds? I will make a memo.
と言って要点を書き出してから、みんなに日本の就活の話を話したことがあります。
これは結果的に皆が期待して待ってくれる時間ができたので、話を熱心に聴いてくれたうえ、拍手までいただきました。
英語で仕事するときに言葉で伝えることは、以心伝心の国、日本の我々が考える以上に大切なことです。
まとめ
以上が英語の会議に出た日本人が違和感を感じがちな5つのあるあるです。
日本人とほかの国の人たちの間にはいろいろな違いがあります。
なんでそうなのか?が分からないとイライラしたり、ストレスを感じることもあるかもしれません。
これからのグローバルな働き方では人と人のやり取りは英語力だけではなく
こうした文化の違いも受け入れ合うことが解決の糸口になります。
同様の内容を「英語の会議の違和感」として取り上げた動画をこちらでご覧ください。
この記事を書いた人

仕事の英語パーソナルトレーナー
河野 木綿子(こうの ゆうこ)
上智大学新聞学科 1983年卒業
ロンドン大学 Goldsmiths College
心理学部 大学院 2000年卒業
東京都青梅市出身
日本第1号の仕事の英語パーソナルトレーナーを2014年に開業。
英語ができるだけでは難しい、海外との業務で圧倒的な結果の差を生む
「マナーや振る舞い」まで学べるレッスンが評判です。
【保有資格】
・ケンブリッジ英検
・IELTS 7.0 (1998)
・英国心理学協会の能力・適性テストの実施資格※
※企業で面接、適性検査、能力検査を実施する資格
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