この記事は外資系企業に転職を考えている方のためのものです。外資系の英語面接では職務経歴書に記載した実績が、本当に応募者の行動や能力によるものなのか、第三者の成功を自分の手柄のように書いていないかの事実確認ができる、掘り起こすような面接が実施されます。質問は構造化されており、面接官トレーニングを受けた人事担当者が面接をします。
合格するためには、専門家によるリハーサルを受けることを強くお勧めします。
採用面接の手法には2種類ある
ごく最近、外資系の英語面接で歯が立たなかったという方の話を聞きました。私自身、新卒採用、中途採用の責任者だった時期があり、専門分野でもあるので最近の状況を調べてみました。今日はその中から中途採用の面接についてお伝えします。
中途採用の場合、即戦力であることが必須なので「職務経歴書」に書いてある実績が自分のものかどうか厳しく問われます。でも実際には面接に旧式の「作り話でもクリアできる面接」がまだあります。一方、最近話を聞いた方が「歯が立たなかった」と言っていた大手外資で使われている「実際にやっているかどうかが問われる面接」も広がってきたようです。
インターネット上で「中途採用面接での質問例」を検索してみたところ、まだこのようなものが多く見られました。
応募者の実績を知るための質問例(従来の典型的なもの)
1.前職では、どのような業務を担当されていましたか?
2.前職では、どのような役割と人数構成で仕事をしていましたか?
3.前職では、どのような目標や目的を持っていましたか?
4.これまでもっとも成果をあげた出来事は何ですか?
5.今までの仕事でもっとも苦労したことと、それをどうやって乗越えたか教えてください。
実はこれらの質問は自分に実績が無くても答えられます。
特に4,5は極端な話、創意工夫が出きる人なら、作り話で答えることもできます。
一方で本当に本人の業績かどうか確認する質問法が20年以上も前から欧米の先進的な採用面接では導入されています。
「深層背景面接(In-depth interview)」という手法です。大手外資系の質問例をインターネットで検索したところ、まさにそれが出てきました。これから大手外資系に転職したいと考えている人には「深層背景面接(In-depth interview)」への対応を準備されることをお勧めします。
実際の深層背景面接の質問例
欧米で言う「深層背景面接」とは本当にその人の業績かどうか探るために、行動を起こした場面の具体的な情報を掘り下げた質問を畳みかけます。
残念ながら日本語で「深層背景面接」と検索しても「深層面接」としか出てこないですし、解説が「本人の内面や、価値観、生活まで探る質問法」と海外の「深層背景面接」とは異なります。
<深層背景面接(In-depth interview)の質問例>
1.自らのアイデアを計画し、実行に移した経験について教えてください
掘り下げる質問:
・それを思いついたのは何がきっかけですか?
・最初にそれを話した相手は誰ですか?
・その時の相手の反応はどういうものでしたか?
2.自らの考えに基づいて行動し、成果を得たときのことを教えてください
掘り下げる質問:
・それを思いついたのは何がきっかけですか?
・最初にそれを話した相手は誰ですか?
・ その時の相手の反応はどういうものでしたか?
これらの堀り下げ質問は本当にそれをやった人にしか具体的に答えられません。本当はプロジェクトメンバーの一人としてリーダーについていっただけにもかかわらず、職務経歴書に自分の手柄のように書いたとしたら面接官に見破られます。
なぜなら実際に経験した人なら具体的な出来事、声を掛けた相手とその反応を思い出しながら具体的に答えられますが、そうでない場合、ざっくりとした一般的な答えしか言えないからです。
例えば
1.それを思いついたのは何がきっかけですか?
・具体的な答え:
前の〇〇プロジェクトがうまく行かなくてやり方を見返したことです。
・一般的な答え(真実でない):
それが会社に必要だと感じたからです。
2.最初にそれを話した相手は誰ですか?
・具体的な答え: 上司です。
・一般的な答え(真実でない): 上司です。
*ここでは差が出ないかもしれません。でも次の質問では
3.その時の相手の反応はどういうものでしたか?
・具体的な答え:
びっくりした顔で「おい、またやるのか?」と言われました。
・一般的な答え(真実でない):
同意して、応援してくれました。
→ 具体的な会話や行動が示されていません。
いかがでしょう。一般的な答えは作り話ですので誰にでも答えられます。具体的な答えは経験者でないと活き活きと描写できません。
大手外資系向け中途採用面接対策
大学生の新卒採用面接をしていると答えの中に「貢献しました」「リーダーとして活躍しました」という表現が多く出てきます。新卒ならそれが本当でなくてまだ実績が無くても、入社してから本当に頑張ってもらえばよいのですが、中途採用の場合はそうはいきません。即戦力であることが求められます。
もしこれから外資系への転職を考えているならば、職務経歴書に書いた自分の実績について質問に具体的に答える準備をしておかれた方がよいでしょう。
もちろん外資系と言っても多種多様ですが、リサーチに基づいた論理的、革新的な採用プロセスを取り入れている外資系であれば「深層背景面接」を取り入れている企業が多いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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